蛍光灯の気持ち(擬人法シリーズ1)

 蛍光灯。多分どこの家にも取り付けてある代物。長細い物はオフィスとか学校の教室とかにある。丸っこい、円盤型の物は一般家庭によくもちいられ、時々「パルック」とかいう名前までつけられ、ちょっとした著名人となる。
 多分やつら、かなりの意気込みで頑張ってます。すごく美白でしょ?美白という点では、現代の男子にはモテるし、女子からは尊敬、崇拝され、時には嫉妬される。そしてどっちかというと夜行性。昼間はあまりつけないからね。そりゃ日焼けしませんよ。でも、彼女ら(僕は蛍光灯を女性と定めた)には天敵がいる。

「豆電球」

豆電球。かなりコンビニなお方である。暗い部屋で眠れない人々は、時としてこのマメ様に自分の睡眠を委ねる。この時、眩しすぎる美白は不要なのである。キツく言えば邪魔。マメ様の柔らかな光が眠りを誘い、安堵感を与えるようだ。だけど、あらゆる購買人から脚光を浴びたいという欲求をもつ、蛍光灯な彼女らは、そんなマメ様といつも対立し、罵りあう。

彼女ら「このチビ!!」

マメ様「僕は小さいからこそ、人々のお役にたてるのだよ。」

彼女ら「はぁ!?何チビなことを自分で正当化してるんですかぁ〜?本っ当!あんたらって存在ウスいわよね!それなのに中心陣取っちゃって。」

マメ様「じゃあ少し中心から外れますね。」

彼女ら「やめて!日に焼ける気がするわ!ねぇ、お姉さま」(ここでの「お姉さま」とは、外輪の蛍光灯)

マメ様「…少し古びて黒ずんでるくせに…」

彼女ら(妹)「あんたに言われたくないわよ!あんた見たわよ〜。今日の昼間、この家のお母さん出かけた時、消され忘れられてたじゃなぁ〜い(笑)あたしたちは、ちゃぁ〜んと消されましたわよね。」

彼女ら(姉)「あのババア、むかつくのよね!カチカチ、カチカチ、付けたり消したりしやがって。一瞬でつくわけないじゃない。あのババア、カチカチやれば言う事聞くと思ってるのよ、絶対!」

マメ様「お母さんはそのような人ではないですよ。」

彼女ら「うっせ!ツケッパだったクセに!あんた!ネジゆるくして、電気の流れ止めるよ!」

マメ様「おめぇら、いい加減しねぇと、グロースターターのおっさんにチクルぞ。俺のバックにはグローのおっさんがいることを忘れるんじゃねぇよ。」

そう、蛍光灯の世界を牛耳るのは、蛍光灯でも、豆電球でもなく、グロースターターなのだ。

    擬人法シリーズ「蛍光灯の気持ち」       完