酒?俺にしたら所詮ただの水さ

この時期、新年会が異常発生する。
俺は昨日、同窓会にて酒を喰らった。
俺は遅刻したから、席は誕生日席、という名のハブ席。
そしてマシンガンのごとく喋ってはみたが、ことごとく外すんだ。



専ら話題は小学時代の「恋バナ」である。そしてこんな時、こいつの話題が必ず出るんだ。

少女「TJ」


俺はこの少女との思い出がかなり希薄なんだよ。

薄いのはプラズマテレビだけで良いと最近良く思う。

ケータイはゴツくていい。


多分、俺の友達なんだけど、

T島くん

こんな男友達がいた。

俺たち小学男児は、正直頭の悪い子ばかりだったんだ。
今の小学男児たちの遊びといえば、

プレステ2

どうせこれでしょ?

俺たち男児の遊びはこれ。
「修行」

男児たちは「ドラゴンボール」に魅了させられていたんだ。
ある男児はこう言う。
「俺、昨日カメハメ波の修行したんだぜ!」

そしてある男児
「昨日、精神と時の部屋に行ってきた」

他にも元気玉を喰らった、とか、ドドンパを極めたとか。
でも、男児たちはしっかりと「夢」を追い掛けていたんだ。
男児たちは「夢」を「夢」と、小学生ながら割り切っていたんだと思う。



でも、T島くんは「夢」を現実化してしまったんだ。


男児たちの中に、床屋を経営している父親の息子がいた。
T島くん、いや、もう俺は、
「T島」と呼び捨てる。
T島のことを書いていて、俺の中のストレッサーが働き始めてきた。

T島はこの床屋の常連客であるのだが、そんなある日、T島はやってしまった。
床屋のおじさんは言う。
「今日はどんな髪型にするんだい」
T島はこう言うんだ。
「トランクス」
こいつは自分とキャラクターの「トランクス」を同化したんだ。
おじさんはトランクスというキャラを知っていないと先読みして、右ポケットにトランクスの「カードダス」を用意していたのだから。


でもね、ここまでは許してあげたんだ。
小学男児たちが持つ、ささやかな許容範囲
T島はその範囲内に、まだ収まっていた。
トランクスは許容範囲だと、T島は悟っていた。

でも、T島は調子をこいたんだ。

翌日の昼休み、T島は椅子の上にあぐらをかき、両手を前で重ねる。大仏のように。

「おいT島、お前何してんだよ」
T島は目を伏せたままこういう。


「修行」

許容範囲を超えた。いや、超越した。

現実世界から夢世界へのK点越え。

T島いわく、教室は精神と時の部屋だと言う。

だが、非情にも昼休みは20分しかないし、T島は修行中、誰かに後ろからケンカキックを喰らっている。

T島はこのケンカキックを喰らった時、社会の厳しさを痛感したと言っていた。