夜明け。数分前ももう過去さ

 リュック・ベッソンプロデュース「YAMAKASI」を今日レンタルしようとした俺。ふとよぎるこの一言。


「こいつら、飛んでるだけちゃうんか?」


井筒監督。
監督の一言に、レンタル中止。
多分、金輪際この映画を観ることはないのだろうと、多少監督を恨んだ。

 
 さて、昨日は友人とともに鍋パーティーをした。多分、鍋パーティーと呼べる代物に違いないと俺は信じている。

「俺には残飯がお似合いさ」

そう自負しながら、俺は残飯をむさぼる。火力によって水分が飛び、時間が経過して冷めきったキムチ鍋は、「京風鍋よ」とは口が裂けても言えないくらい「関東風」な味付けに化け、「濃い口醤油を飲んでるみたいだぜ、ベイベ−!!」と言っても……過言である。

 とにもかくにも、キムチ鍋は成功したに違いない。熱々なキムチ鍋に皆は舌鼓をうったわけだし、猫舌な俺には、冷えきったキムチ鍋に好感を持てたわけだし。この感覚、常人にはわかるまい。俺は皆より1つ多くの鍋の楽しみ方を知っているのだよ。

冷めた鍋、君の舌には、似合わない。

鍋が「季語」として成立するのなら、今期初の俳句の完成だ。


「鍋で終わりか?」
と言われて、終わりと言えば終わりだが、夜明けにはまだ早い。
多分、俺たちは若い。
「徹夜で麻雀」「カラオケでオール」「ファミレスでオール」「居酒屋でオール」
夜明けを迎える術はいくつかあるが、それほど挙がるものでもない。
「オールでウイイレ」は多分辛い。
そんな中、こんなオールの方法は天地がひっくり返るだろうし、毛穴から毛細血管が顔を出すだろうし、リバースを繰り返す新橋の酔っぱらったオッサンたちを敬愛しちゃったりする女子高生が殺到するだろう。

「ボーリングオール」

かなり俺たちは若い。

多分、この過酷なオールを乗り越えた暁には、卓球の愛ちゃんより「腱炎症」に悩まされるだろうし、テニスの伊達公子の「テニス肘」よりも「ボーリング肘」になれるだろう。

ちなみに俺、投げきりました。
腰痛の痛み?そんなものクソくらえだぜ!ちょっくら小便でもかけりゃ治っちまうぜ、とはいかず、翌朝激痛に悩まされる俺。貼る温湿布が恋しかった。貼る温湿布は患部に春を参らせ、心に温もりの息吹きを与える、と俺は思う。

夜明け前。
俺たちは(俺はあまり関与せず)卒業パーティーの計画を、何故か山手通り付近の歩道で立てている。多分、山手通り付近はたまり場ではない。
まぁ、俺たちのたまる場所全てが「たまり場」と化すのだがね。
しゃべり場?」
あんなの屁にもおよばねぇ。俺らがNHKを電波ジャックして
「マンネリ20代(一部30代)たまり場!!」
を放映した方が、視聴率は良い。月9ラインでやっても勝てるだろう。それくらい、俺たちはキャラクターの濃い集合体なんよ。

午前6時付近。

俺たちは解散する。

3方向、綺麗に舞った俺たちは、桜が散るかのごとく、帰路えと足を運ぶ。

季節はずれの除夜の鐘。

俺の中の除夜の鐘。

86回、鐘は鳴らされた。

残りあとわずかで俺たちの「今年」は終わる。