くたばれ24時間

 今の俺はすごく切なく、空しい感情に苛まれている。
そして、これほどまでに「時間」を攻め立てているのは初めてである。
これほどまでに人との出会いを純粋に、愛おしく思えたのは久しぶりだ。

「出会いの数だけ別れは増える それでも希望に胸は震える」

ミスターチルドレンの歌のワンフレーズ。
今の俺にはズシリと重くのしかかる言葉。

今日の俺はとにかく純粋に人類愛を掲げる人間であった。
深い仲の人間、顔見知りの人間、当たり障りのない人間。
どれもこれもが愛おしく見えた。
とにかく、できるだけ沢山の人たちと会話をしたかった。
でも1日の時間が全く足りないことと、俺の勇気が少しだけ足りないこと、
これらが俺の欲求を妨げる。


なんだって良かった。
「おはよう」
とか、
「元気だった?」
とか。
そんな一言の会話だけでも良かった。
ただ、
「さよなら」
の一言はいくらなんでも寂しすぎる。

夕暮れ時、人々は各々の方向へと進む。
多分、みんなだって切ないだろう。
今夜はみんな、なかなか別れを告げられないんだろうな。

いっそのこと、大きな広場の中心に大きな焚き火を作って、
みんなそれを囲んで安い酒なんか喰らっちゃってさ。
でも、そんな夢見心地な気分、俺だけが想像してるのかな?

でも、そんな願いの今夜でも、やっぱり俺は言うみたい。
「さよなら」
今夜は冷たい雨が降っていたなぁ。
雨に隠れて、そうっと、涙を流すのも悪くないけど、
やっぱり恥ずかしいから我慢した。
「男泣き」はもう少し後に残すことにして。
今日も短かった24時間。
寝なくても、食べなくても、飲まなくても、
やっぱり24時間。
この時期くらい、もう少し延長してくれないかなぁなんて思ってる。
でもダメみたい。
延長料金も受け付けないってさ、現実は。

はぁ……「くたばれ24時間!」