軟禁講習

22歳になっても、ホームシックというあの枕を濡らすような感情は健在なのだと知った。
とはいえ、別に枕は濡らしていない、というより、最近ドライアイが悩みな俺。
潤おうと言えば、花粉症とアレルギー性鼻炎で合併症を引き起こした『鼻』くらいである。
白糸の滝のごとく、俺の鼻は流れる。


「拘束」が嫌いな俺にとって、社会の容赦のないプレスは俺の精神を蝕む。
なぜ俺は3時間も椅子に縛り付けられ、合間の10分のささやかな解放に安らぎを求めるのか。
解放の10分間で、俺の脳ではアドレナリンが噴出する。
そしてその興奮は、たった一本のシガレットによって鎮圧される。
たった一本の缶コーヒーは「幸福飲料」で、これは「炭酸飲料」や「清涼飲料」を超越する。


「このカフェインな気持ちは何なのだ」


何ゆえに俺は夜の3時間に全身全霊を捧げる?
座り疲れた俺の身体のうち、関節の「きしみ」は限り無く悲鳴に近かった。
3時間で風呂、歯磨き、コンビニ、夜食、喫煙を終える俺。
俺の生理的欲求、ここでは3時間で精算される。
ただ、コンタクトレンズを擦り洗いする時間が愛おしく感じるのは、先にも後にもこの時だけである。


何故ここまで「内P」がつまらない。
何故「あいのり」を久しぶりに見たのにジェラシーしない。
何故「ぷっすま」のゲストが「にしきのあきら」なのだ。
わからない。
ここの環境では、笑いの感覚すら忘却させられ、笑えない俺は破綻の一途を辿る。


「多分、笑い疲れたのだよ」


作り笑いをすると、本気で笑いたい時に笑えなくなるみたいである。
多分、顔面の筋肉が疲労して、下手したら肉離れを起こすに違いない。
最近流行っているらしい。


「顔面筋肉離れ」


笑えば痛いし、笑えなくても、それはそれでかなり痛い。


何故笑わなくてはいけないのか。
何故名刺は角を持つのか。
俺の神経は過敏な反応を起こすようになり、時として、親指の爪先で名刺の角を持っていた。
名刺の角は爪痕を残している。


自宅に帰宅した俺。そんな俺を彼らは癒してくれた。

「おぎです、やはぎです、おぎやはぎですけど何か?」


東京芸人は癒しを惜しみなく提供してくれる。
ありがとう、人力舎
社会は荒波なりヨ。